練馬区立美術館開館30周年記念第二弾、舟越保武彫刻展が開幕!未公開のドローイングも多数展示に
手前:「若い女の胸像」(1973年、岩手県立美術館蔵)、左奥:「聖マリア・マグダレナ」(1984年頃、個人蔵)
人の心に映るすべての生命の存在を凝視する、髙い視点から生まれる想いが、詩心であり、これを源にして、言葉になれば詩であり、形になれば絵になり彫刻になるのだと思う
──舟越保武
開館30周年を迎えた練馬区立美術館。それを記念した第二弾として、戦後日本の具象彫刻を代表する彫刻家の一人、舟越保武(1912〜2002)の初期の石彫から晩年にいたる代表的な彫刻、そして未公開を多数含むドローイングを集めた展覧会、「舟越保武彫刻展 まなざしの向こうに」が明日から開幕します。本日行われた特別内覧会には、息子さんで、現在は兵庫県立美術館で個展「舟越桂 私の中のスフィンクス」が開催中の舟越桂さんや彫刻家の皆様のお姿も。今もなお、多くの彫刻家たちに慕われている舟越保武のお人柄を偲ばせます。
1912年に岩手県に生まれた舟越保武は、盛岡中学校(現岩手県立盛岡第一高等学校)に通っている頃、兄のすすめで高村光太郎訳の『ロダンの言葉』を読み、感銘を受けて彫刻家を志しました。
手前:「隕石」(1940年、岩手県立美術館蔵)、右奥:「婦人胸像」(1941年、岩手県立美術館蔵)
「白鳥」(1948年、東京国立近代美術館蔵)
じつは舟越保武は練馬に在住していた1940年にはじめて大理石彫刻に取り込むなど、練馬にゆかりの作家でもあります。
「一馬と水仙」(1948年、個人蔵)
長崎26殉教者記念像(1962年、岩手県立美術館蔵)のうちの4体
「聖セシリア」(1980年、岩手県立美術館蔵)
1950年にカトリックの洗礼を受けた舟越保武は、それ以降カトリック信仰に裏付けられた宗教的主題に取り組むようになり、独自のスタイルを確立していきます。「長崎二十六聖人殉教者祈念碑」や「原の城」、「ダミアン神父」といった戦後日本の彫刻を代表する作品が生まれました。
こちらのドローイングは二十六聖人をモチーフとしたものですが、黒々とした墨を使った、力強い表現でインパクトがあります。
「ゴルゴダ」(1989年、岩手県立美術館蔵)
最後のお部屋には1987年に倒れ右半身不随となった後に、左手で制作された作品が並んでいます。ゴルゴダのキリストをモチーフにした作品など、以前よりも生々しい表現で迫ってきます。
スケッチブック
初期から晩年まで、舟越保武作品を辿ることのできる貴重な展覧会となっています。
「青い魚」(1958年、岩手県立美術館蔵)
会 期 2015年7月12日(日)~9月6日(日)
会 場 練馬区立美術館
観覧料 一般800円、高校・大学生および65~74歳600円、
中学生以下および75歳以上無料
主 催 練馬区立美術館、読売新聞社、美術館連絡協議会
協 賛 ライオン、清水建設、大日本印刷、損保ジャパン日本興亜、日本テレビ放送網
協 力 ギャラリーせいほう
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