橋口五葉展@千葉市美術館、今週末で会期終了

現在、千葉市美術館で開催中の生誕130周年 橋口五葉展に行ってきました。今回は内覧会ではなく、別の取材で小林忠千葉市美術館館長にお会いしに行ったため、会場内の展示風景は撮影しておりません。ごめんなさい。とても良かったです。41年という短い生涯だけれども、日々鍛錬を繰り返し、美の道を極めていった芸術家の生涯がとてもわかりやすく展示されていました。 橋口五葉と言えば、浮世絵版画のイメージが大きいのではないでしょうか。特に白くてむっちりとした肌の女性がうつむき加減で髪を梳いている作品など。ところがこういった一連の木版画作品はじつは死の前年に制作されたものがほとんどだそうです。実際に木版​画は13点のみしか作られていないとのこと。 会場に入るとまずは初期の油絵があります。自画像など、こってりとした油彩表現はいわゆる明治美術会(脂派)的なイメージが強い。でも水彩画などを見ていると、色使いがとても綺麗で明るく、洗練されています。 次の部屋に行くと、黒田清輝の影響を思わせる浪漫主義的な油彩作品が並んでいます。あれれ、どこかでつい最近、見たような……。そう、現在ブリヂストン美術館で行われている青木繁展。青木繁の描いたモチーフとの共通性を感じるんです。青木繁は橋口五葉よりも一つ年上。まさに同じ時代に青春を過ごしたわけです。こうやって見ていると、黒田清輝が当時の若者に与えた影響の強さを改めて感じます。フランス帰りの黒田のモダンな明るい色彩、テーマに魅了されたのでしょうね。 [caption id="attachment_759" align="alignnone" width="400" caption="参考図版として、夏目漱石の「それから」初版復刻版。装幀は橋口五葉"]
[/caption] 橋口五葉は本の装幀も多数手がけています。代表的なものは夏目漱石の一連の作品。橋口はまず装幀家・デザイナーとして世に出たわけです。この夏目漱石の『それから』ですが、橋口が装幀を手がけています。先ほど青木繁の話が出ましたが、漱石はこの小説の中に、青木繁の描いた「わだつみのいろこの宮」に対して賞賛する場面を記しています。 こうしたデザイナーとして活躍する一方、常に美の道に対して研鑽をつんでいたことが、残された多数の裸婦デッサンから見えてきます。理想美ではなく、生の女性の肉体を捉えたデッサンは、それでいてどこか甘さや優美さ、そしてエロスが息づいていることがわかります。 その日々の積み重ね、美への探求心が最終的に浮世絵版画を復刻した木版画表現へと昇華されました。そして生まれたのが「髪を梳ける女」や「化粧の女」などの作品。デッサンの線を重ねることで最終的な木版画の一本のゆるぎない線が獲得されたと言ってもいいのかもしれません。 [caption id="attachment_760" align="alignnone" width="216" caption="展覧会カタログ"]
[/caption] 橋口五葉の多様性を知る、そして明治という時代の文化力の高さを知ることの出来る展覧会。青木繁の作品と比較しながらの鑑賞も明治という時代の一面がわかって面白いと思います。 生誕130周年 橋口五葉展
• 会期:2011年6月14日(火)~ 7月31日(日)
• 会場:千葉市美術館
• 主催:千葉市美術館、東京新聞

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